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野菜からミネラルは取れない
   
     野菜づくり

 野菜づくりを始めて、二十年になる。
 週末を利用して作る野菜は、年間五十種類を超える。当欄でも一度書いたことがあるが、今回は野菜の効用について述べてみたい。
 野菜の効用は、栄養の三大要素である炭水化物、タンパク質、脂肪よりも、ビタミン、ミネラル、繊維質などの微量栄養素の摂取にウェイトが置かれる。
 私は毎朝、自前の野菜とフルーツ(りんご等)に、アロエ一片をミックスした野菜ジュースを飲んでいる。
 このジュースを飲むようになって、少年時代から続いた胃弱を克服した。女房がつくってくれるジョッキ一杯の野菜ジュースが、私の健康の素である。二十年で四台のジューサーを潰した。家電の中で一番壊れやすいのが、ジューサーであることを知った。すぐにガタがくるのである。世界一の家電技術を持つ日本だが、ジューサーだけは一級品がない。
 新鮮な採りたての野菜と、ベランダに幾鉢もあるアロエに、リンゴやミカン、梨などを加えたジュースの効用は、胃弱ばかりではなく、全身の細胞の活性化に役立っている。
 野菜から摂取するミネラルは、大地から吸い上げたミネラルである。したがって、野菜をつくる畑土にミネラルがなければならない。
 その畑土にミネラルがなくなってきている。あったとしても、ミネラルを吸収する元気のよい作物でなければ、大地の恵は得られない。
 近代農法は、化学肥料によって達成された。生産性を高め、効率よく大量に作物をつくるには、化学肥料は欠かせない。しかし、化学肥料主体の農作物には、必ず農薬が付きまとう。大地の微量栄養素を充分に摂取していない弱い作物は、病気が発生したり、害虫に犯されやすいからだ。大地にミネラルを補給するしかないが、ミネラルは人工的に量産できない。鉄、スズなどは、元素自体を舐めても何ら効果が上がらない。鉄分不足を補うのに、クギを舐めても摂取出来ない。人間の体内に摂り込むには、ホウレン草や小松菜を食べるしかないのだ。
 そのホウレン草や小松菜に、充分なミネラルが含まれていないのである。含まれているのは、多肥栽培をした結果、窒素ばかりである。過剰な窒素は野菜の中で硝酸塩に変化する。硝酸塩は体内に入ると糖類に変わる。
 窒素過多の野菜を食べ過ぎると、糖尿病になるという説もある。これは河野武平氏(筆者とは無関係)が『野菜が糖尿病を引き起こす』(宝島社)に詳細に記述している。
 いままで、肉や乳製品などの高カロリー食品が糖尿病を引き起こすと考えられてきたが、野菜中心の食事でも、糖尿病を引き起こす時代になりつつある。
 温室栽培を含む近代農法が、基本的に多肥栽培で行われていることに端を発しているのだ。その結果、病害虫に犯されやすくなり、更に地表の作物ばかりか、土壌にも農薬を混ぜ込んでいる。
 化学肥料と農薬は、畑土の中のバクテリアを殺してしまう。これを繰り返すと、農薬に強いバクテリアだけが生き残ってしまうのである。
 既に近代農法は、大きな曲がり角に接している。大量生産による地力の破壊によって、化学肥料と農薬漬けにされた作物は、野菜と呼ばれる栄養のない草になろうとしている。そこで考えついたのが、地力のない畑でも、量産が可能な遺伝子組替えの作物である。それがどんな作物であるかは、いちいち説明するまでもないだろう。遺伝子組み替えの野菜を、果たして「作物」と呼べるのだろうか。
 地球温暖化もクソ喰らえという米国式の発想は、至る所で綻びを見せ始めているのだ。

  医師の警告

  有機肥料をたっぷり使用する野菜づくりは、手間ヒマがかかる。私の場合、落葉を集めて堆肥づくりから始めている。油カスやヌカを混ぜ込んで醗酵させて、約半年寝かせてから使用する。まるで、手前味噌をつくるようなものだ。余談ではあるが、野菜づくりのほかにも、拙宅では大豆と麹と原塩だけの、純粋な味噌をつくっている。
 ある日、埼玉県の医師から手紙をもらった。その後、手紙をやり取りしているうちに、現代病の多くが、ミネラル欠乏症によって引き起こされることを教えられた。臨床的にも研究されているという。
 その医師は、ガン、糖尿病、アトピーなどは、良質なミネラル溶解水によって治療できると説明してくれた。現代人のミネラル不足は、近代農法によって育てられた野菜に起因するらしい。私が常々思っていたこととピタリ一致していて驚いた。
 日本人の病気の大半は、質の悪い野菜を食べているからなのだ。
 この医師は自ら、何万年もかけて風化された花崗岩を電気溶解して、イオン化した水をつくり、超ミネラル水と命名している。
 超ミネラル水を希薄して難病患者に与える中で、膨大な臨床例が蓄積されてきた。末期ガンや高血圧症、糖尿病、アトピーなどのほか、肥満や水虫にも効果があることがわかった。
 医食同源は東洋医学の出発点である。漢方薬の薬効成分の中には、ミネラルが相当の役割を果たしているはずだ。
 バランスの取れた、いい食事をしようと努力をしても、食肉、鶏卵を含め、野菜までも医食同源を果たせないものが出回っているとしたら、人類の終りも近い。
 食事の洋風化によって、大量の生活習慣病が発生したことは、まぎれもない事実である。しかし、洋風化による高カロリー以前に、カロリーを燃焼しやすくするミネラル不足が問題になり始めているのである。
 ミネラルはビタミンと共に、人間の細胞活動に必要な微量栄養素である。ミネラルは元素である。中でも必須元素と呼ばれるものは、カリウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガンなどだ。更にモリブデン、ニッケル、白金、ケイ素、ホウ素などの効用が注目され始めた。モリブデンは生体活動に必要なアミノ酸、タンパク質の合成にかかわっている。ニッケルは鉄と共に造血作用に重要な役割を果たしている。
 このほか、バナジウムにはインシュリンと似た効果が発見されたり、白金は既に抗癌剤に使用されている。
 ミネラルの摂れない野菜を常食している我々は、間違いなく成人病予備軍である。栄養の三大要素だけでは、人体の生体活動、細胞活動、代謝機能が充分に働かない。生命誕生の起源は海水である。太古の海水には、現代人に必要なミネラルが充分にあった。人類は必須ミネラルを自然の食物から摂取するという大原則を破壊し始めているのだ。
 


イラスト:
かわかみゆういち
 
月刊「力の意志」(サンラ出版) シリーズ 視点・論点