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マガジン X 2002・6月号掲載    
 




インタビュアー
ジャーナリスト
河野 實
 








略歴
たなか
やすお
  脱ダム宣言で役人の論理を変革

―― 二年も経たないうちに、二度も知事選を闘われましたね。初戦と再選で県民意識の違いはありましたか。

田中 ああいう形で任期半ばで罷免されたのですが、「脱ダム宣言」に見られるように、物質中心から人が人のお世話をするソフト中心への改革を、県民が理解して下さり、大きな支持をいただきました。
 脱物質行政を端的に言えば、教育、環境、観光、福祉に加えて、二十一世紀型の農林業、製造業に転換することです。これを進めるには、箱モノ中心ではなく、人中心にすることです。合い言葉は、やさしさ、確かさ、美しさです。

―― 合い言葉の中身を説明して下さい。

田中 現代はIT社会とか、コンビニエンス社会とか言われていますが、それによって、ほんとうに人間らしい生活が享受されているかが問題です。むしろ、老人たちは疎外感、孤独感に陥っていると思います。阪神大震災のボランティア体験で、つくづく人と人とのコミュニケーションは、肌の温もりを感じる関係をメインにしなければならないと思ったのです。あふれるような物質は破壊と同時に終わりますが、人と人との確かなつながりは、物質中心に左右されません。

―― 今回の選挙で外から見ていて、お年寄たちが起ち上がったと感じましたが...。

田中 そうです。選挙カーで回っていて、今回はお年寄が家から飛び出して来て下さった。前回はモノ言えば唇寒し≠ニひっそりしていた人たちが、自由に自己表現されている姿を拝見して、私自身が勇気付けられ、嬉しくなりました。

―― 公約の中にある冬期五輪帳簿問題と、県議の渡し切りの視察旅行費の見直しを、どのように実行されますか。

田中 冬期五輪の帳簿問題は、知事直属委員会で公開討議します。関係部署の者が出席してこなければ、その理由を追及します。例えば健康上の理由の場合、診断書を書いた医師にも状況を説明してもらいます。
 視察費に関しては、来年の県議選までは彼らも大人しくしているでしょう。しかし新しい県議たちが従来通り予算を計上してくるのか、県民の厳しい目が監視します。県議の良識に期待しますが、期待に反した場合は、私が直接県民に訴えることになるでしょうね。

―― 公共事業依存体質の脱却策は、どのようにされますか。

田中 必要不必要を吟味した上で、工費の八割が県外企業に支払われるような発注の仕方を改めます。地域の業者が潤うようにします。入札制度を透明化するため、弁護士等が入った長野県公共工事入札等適正化委員会を設立しました。早くも談合バスターズ(破壊者)と業界を震撼させています。

―― 国は特別措置法をつくって、市町村合併を奨励していますが、知事のお考えは?

田中 国というよりも、自民党の選挙対策の意味合いが大きい。彼らは集票化に役立つと考えるのでしょうが、実際は周辺町村に新たな過疎化を招きますよ。愚かな勇気には驚いています。三つの市が合併すると首長が二人節約出来るなどとしていますが、現実は市職員の待遇は一番高い所に合わせ、サービスは一番低い水準になるのですから、納税者(市民)は浮かばれませんね。

―― 全国ワースト二位とも言われる県財政を引き継いで、どのように建て直しますか。

田中 王道はありませんね。国から予算がつくからやるとか、他力本願的なことはやりません。あくまで県民本位に、地域の活性化、生きがいを呼び起こすような事業を地道にやっていきます。県民が大変な時に県職員の待遇は従来通りでいいのか、時代にマッチするように見直していきます。

―― 知事選後の塩尻市長選挙に見られるように、親田中現象にどう呼応していきますか。

田中 よく田中新党を旗上げするかなどと尋ねられますが、そんなことは考えておりません。あくまで人物本位でしょう。もう県民の方がお先に失礼≠ニ先を行っていますよ。中央の偉い人の推薦があるとか、公党や団体に支持を受けているとかでは、もう県民に選ばれません。私と親しいという理由だけではダメで、本人の議員資質、情熱などで判断されるべきです。
   
 
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