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「ああ、野麦峠」の作家山本茂美さんは、何を隠そう私の師匠である。出身が同じ信州と言うこともあるが、何よりも二人の共通項は自然児であり、都会派ではないことである。「ああ、野麦峠」の他の作品をみても、「喜作街道」「塩の道、米の道」「高山祭」など、都会を描いたものは、一つとしてない。二枚の写真はマイクを握っているのが山本さん。もう1枚は聴衆。平成4年の秋、私の菜園仲間の収穫祭に来てもらい、青空講演会をしていただいたときのものである。このときの演題が「人間は大地以外に生きられない」であった。
いまの自然を無視した文明は、束の間、仮初めのものであり、21世紀中には人間は自然に回帰するだろう。古代や原始に戻るわけではないが、自然を破壊し続けて、便利、効率、安全だけ
を追求していれば、自然が人類に報復する。自然が許すギリギリのところで、人間が妥協するに違いない。それが環境運動であり、緑の党の台頭である。
政治と経済の世界からよりも、国民レベルから環境保護の運動が起こるだろう。政治や経済は物質文明に毒されているから、国民に押される形でしか、環境に対応しないだろうーーと言うような内容だった。京都環境会議議定書から離脱したアメリカの傲慢さを見通していた。
山本茂美さんは平成10年3月27日永眠した。葬儀委員長に私を指名してーーー。
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