| ●マコ-ワールド流 菜園作法 | 河野實 | |||||||||||||||||||||||||
| 家庭菜園の入門書はゴマンとある。著者は、99パーセント有資格者である。有資格者とは、農林水産省の研究員、各大学の農学部、園芸学部の教授や研究員、農業高校の教諭、自治体農業試験場研究員、種苗会社研究員、それに専業農家従事者などである。 私は兼業農家の次男坊で育ち、学校から帰ってくると、三本鍬(信州ではマンノガといった)をかついで田を耕しに行ったり、草掻き鎌を持って畑に草取りに行った。田んぼの畔の草を刈ったり、ギザギザの刃のある鎌で稲刈りもした。 何度も手を切って血を流した。そんなとき両親や兄がいれば、日本手拭いを歯で破り、包帯がわりにしてしばってくれる。一人のときはズボンを下げてシャッをめくり上げ、歯で食いちぎって、自分で出血部分に巻いた。 手を切ったぐらいで作業が免除されたり、やめて家に帰ったりすることはなかった。私は右利きだったので、左手に鎌で切ったキズ跡がいくつもある。 少年時代の農業の手伝いはイヤでたまらなかったが、18年間続けている週末菜園は楽しくて仕方がない。いまでは週末の菜園が楽しみで、毎週末が少年時代の遠足みたいなものだ。 野菜づくりの入門書は20冊ぐらい読んだが、ほとんどどれも同じことが書いてある。同じことが書いてあっても、なぜか何冊も買ってしまうのだ。「水やり」のところでも書いたが、野菜づくりの本には、必ず「水やり」の項目がある。しかし、専業農家で水やりをやっているのを見たことがない。たった一度だけ同じ千葉の八街で、広大なサトイモ畑の中にいくつものスプリンクラーが水を飛ばしているのを、見たことがあるぐらいだ。 私は苗を植えるときと、真夏の日照りが続いたときに、ナスとキュウリの畝間に、ポリタンクで運んだ水を大量に流し込むだけである。 だから、試験場や研究機関での成果を書いたものは、あまり参考にならない。農業専従者の書いたもののほうが、試験場のように設備や資材が豊富でないので、自然条件ややりくりに合わせた知恵があって参考になる。一般社会と同じで、知識はそこそこでも、知恵を活かしたほうが、結果的にうまくいくのである。 野菜別の私のやり方は、無資格者の体験に基づいたものである。したがって、試験場や大規模農家のやり方とは違いがあるはずだ。あくまで我流であることを断っておく。参考になるところだけを汲み取っていただければ、とてもありがたい。
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